2008年白子(しろこ)ウインドシンフォニカ委嘱により《大クスの風》※を作曲し、同年同団より初演されました。2014年この原曲を用い、楽器編成の改訂や新たな旋律を加えた《吹奏楽のための風景詩「千年の大楠」》を作曲し、2015年松戸市立第四中学校吹奏楽部により初演されました。
〜暑い夏、名古屋から白子に向かう車内、ふと窓の外に目をやると一際大きな木が見えた。私はとっさに次の駅で降り木を目印に歩いた。鮮やかに広がる緑の田園と、澄んだ川に佇む白鷺が印象的な場所にそれはあった。樹齢千年「長太(なご)の大楠」。〜
木管と金管の華やかな掛け合いで始まる冒頭は、大楠の雄大な姿を表現しました。次に6/8拍子で一定に繰り返されるリズムと和音は徐々に厚みを増しながら、オーボエ、アルトサックス、トロンボーンの旋律を支えます。これは仲睦まじく暮らす人々の営みを再現しました。複雑なリズムが絡み合う中盤は、不協和音と協和音が交互に繰り返されることで、人間同士の争いや欲望、それを悲しく見つめる大楠を描きました。全てが崩れ落ちそうな時、木管中心の主題が一筋の光を提示します。ピッコロソロから始まる終盤は、天災で弱った大楠を人々が手を取り合い修繕する様を再現しました。速いテンポの中、様々な楽器により散りばめられた旋律は、モルトリタルダンドで一つの塊となり壮大な主題を導きます。そして、冒頭ファンファーレが展開され希望を持たせながら堂々と終えます。
最後に、長太の大楠は千年の時を経ても尚、自然や人間から何も奪いませんでした。私自身に問いています。欲だけに生き、争う事は決して駄目なのだと。
※曲名を《「The Wind of A CAMPHOR TREE」(大クスの風)》から、《千年の大楠》に変更いたしました。
Piccolo
Flute 1, 2
Oboe 1, 2
Bassoon 1
Contra Bassoon (doub. Bassoon 2) (option)
Clarinet in E♭
Clarinet in B♭ 1, 2, 3
Alto Clarinet in E♭
Bass Clarinet in B♭
Alto Saxophone in E♭ 1, 2
Tenor Saxophone in B♭
Baritone Saxophone in E
Trumpet in B♭ 1, 2, 3
Horn in F 1, 2
Horn in F 3, 4
Trombone 1, 2, 3
Euphonium
Tuba
Contrabass
Timpani, Rainstick, Suspended Cymbal
Percussion 1:Snare Drum, 2Congas, 締太鼓 (Tom-tom), Sleigh Bells, Triangle, Crash Cymbals
Percussion 2:Bass Drum, Guiro, Sleigh Bells, Triangle, Gong
Percussion 3:Marimba, Tambourine, Gong, Ride Cymbal, Antique Cymbal, Suspended Cymbal, Crash Cymbals
Percussion 4:Marimba, Vibraphone, Chime, 5Temple-Blocks, Wind Chime, Triangle, Suspended Cymbal, Crash Cymbals
Percussion 5:Glockenspiel, Xylophone, Shaker, Vibra-Slap, Gong, Suspended Cymbal
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